第56回 東京名物神田古本まつり

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11月1日に東京は神田神保町で開催された「第56回 東京名物神田古本まつり」に行ってきました。
毎年楽しみなイベントです。今年ものんびり見て回ってきました。

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『人工衛星の“なぜ”を科学する』

小惑星探査機「はやぶさ」帰還以後、ロケット・人工衛星をとりあげた宇宙開発関係の書籍が数多く発売されています。その中でもこれはと思う本が出版されました。

『人工衛星の“なぜ”を科学する―だれもが抱く素朴な疑問にズバリ答える!』
(NEC「人工衛星」プロジェクトチーム著 ISBN978-4-86059-110-6 アーク出版)

この本は、人工衛星についてあらとあらゆる事柄が書かれています。
今までにロケットについてはこのような書籍は何度か発売されています。しかし、人工衛星となると私の知る限り記憶にありません。

著者がNEC「人工衛星」プロジェクトチームです。日本の人工衛星を数多く手がけたNECの技術者たちが監修しています。単に人工衛星の歴史や特徴などを挙げるだけでないのがこの本の良いところです。
人工衛星の種類からその目的の分類から始まって、人工衛星がそのように製作されているのか、どうやってい制御しているのか、人工衛星がたどる軌道というものはどんなものなのか、が各ポイント毎にまとめられて書かれています。

実に、人工衛星のいろいろな部分について実に事細かに説明がされています。
材料や部品の呼び名にはじまって、搭載機器の意味やその機能について、人工衛星の将来のテクノロジまで「人工衛星の基礎知識」としてまとまっています。
各項目の大半が見開き1ページで紹介されている点も良いです。拾い読みしても章ごとにまとめて読んでも「人工衛星」という代物が網羅できるようになっています。


ここ数年宇宙ブームで興味を持った人がさらにその先を知りたい、宇宙開発ファンでも「あれなんだっけ?」というときなどにそばにあると大変助かる1冊です。



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『妖精作戦』

笹本祐一さんの『妖精作戦』が東京創元社から発売になりました。これは予想外でうれしいことです。

親本である朝日ソノラマ版は、表紙が違うもので3種類持っているし、NHK-FM「アドベンチャーロード」でラジオドラマ化された「妖精作戦」のカセットテープも持っている。獅子王(今はなき朝日ソノラマのSF雑誌)に載っていた妖精作戦の3作目「カーニバルナイト」同人誌まで持っていたりする(笑)

私の中では笹本さんの作品の中でベスト3に確実に入る作品です。SFで青春もの。いまだとライトノベルズのカテゴリーに入るんでしょう。東京創元社版は今風の表紙だったのでちょっと違和感を覚えました。


学生たちが、転校生の秘密に巻き込まれてか飛び込んだかどうでもいいけど巨大組織を相手に謎の探偵と共に月へ行ってさあどうなるか、という小説です。
SFと言えばSFですけど、初めて読んだ時一発で気に入ったのがその設定。XB-70バルキリーやスペースシャトルなど現実に存在している航空機・宇宙船にありそうな設定をぶち込んでSFの世界に引き込んでいくところ。この設定は宇宙開発ファンとしてはたまらなかったです。

個人的に、SFはある意味簡単に宇宙へ行けてしまうのであまり好みではないです。そういう設定も嫌いじゃないですけどね、ちょっとした違和感を覚えてしまうのです。でも、この妖精作戦は、読者をちゃんと地べたから宇宙へ連れて行ってくれる。そういう現代かちょっと未来にあり得たらかもしれないところが良いです。

親本が発表されたのが1984年。携帯電話はもちろんインターネットもない。コンピューターだって一人一台の時代ではありません。でも、今読んで全然違和感がない。やっぱり、学生たちが所狭しと駆け抜ける出たとこ勝負の展開と怪しいけど優秀な探偵に謎の転校生の物語が読み返さずにはいられません。


4部作の第1作目。残りの巻も発売されるようで待ち遠しいです。
〈Jコミ〉では、1994年ソノラマ文庫版がネット無料配信という形で公開されました。<http://www.j-comi.jp/book/comic/4441

とにかく面白いですよ「妖精作戦」は。



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『星を作った男~昭和の衛星屋さん~』

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ロフトプラスワンのトークライブ「ロケットまつり」人工衛星版としてはじまった「衛星まつり」。そのゲストの小野さんが使用されたレジュメをまとめたものが同人誌として発売されました。もう書籍といって良いレベルの製本と内容の濃さ。こういう本を待っていました。

小野さんは、趣味がアマチュア無線。スプートニクの電波受信にかり出され、それがきっかけで日本の人工衛星開発の黎明期に携わった方です。その方が話される人工衛星の話しやその裏話など面白くないわけがない。

「衛星まつり」で小野さんはかなりの量の資料をもちこんであれやこれや見せてくれました。そのあれやこれやが1冊にまとまる日が来るなんて想像もしていませんでした。なにせロフトの不文律で「お店を出たら忘れること」があります。あの場で聞いた話見たものはお店に足を運んだお客さんのもの、という配慮があります。

たぶん、あれだけの資料を一度だけ使われるだけではもったいない、記録として残しておくべきだと考えられたんでしょうね。「衛星まつり」でスクリーンにほんのわずかな時間で映し出されたお宝を記憶だけでとどめておくのも限界がありますし。

トークイベントの資料なので『昭和のロケット屋さん』のようなストーリー性はあまりありません。しかし、資料としては一級品だと思います。なにせ日本の宇宙開発黎明期の記録がほんの一部でも紹介されているわけですから。
読んでいくと、幸運なことに全9回の「衛星まつり」に参加していたのでそのときに様子がありのままによみがえります。そして、記憶違いが一杯ありました(笑)

覚えている限りでは、「衛星まつり」で紹介された資料はほとんど載っているようです。それ以外の資料もあるようでこれは宇宙開発ファンとしては必須アイテム間違いなしです。
取り上げられている情報などは今となっては古い資料かもしれません。しかし、人工衛星の作り方、プロジェクトとしてのどういうことを考えたか、あまり知られていない日本宇宙開発黎明期に尽力された方々についてなど知りうるには遜色がない書籍だと思います。


元々は、コミックマーケット80と阿佐ヶ谷ロフトAで行われる「ロケットまつり47~垣見恒男スペシャル2」で販売されることになっていました。コミケには行けないので阿佐ヶ谷ロフトで入手すべく手配。
ところが、8月27・28日有明ビッグサイトで開催された「ハムフェア2011」やAstroArtsオンラインショップで通販される事態になっているではないですか。

AstroArts オンラインショップのページはこちら→「星を作った男~昭和の衛星屋さん~」

私は、毎年ハムフェアに参加しているのでめでたくこちらで入手。(もちろん阿佐ヶ谷の分も買った!) しかし、いったいどれだけ売れたんだ。それだけこの世界が好きなら買っておけ!の本だということでしょう。
この調子で、「ロケットまつり」の記録やトークの内容がどんどん同人誌・書籍化されると良いですね。


写真は、ハムフェア2011で販売されていた『星を作った男~昭和の衛星屋さん~』

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『脳天気にもホドがある。 燃えドラ夫婦のリハビリ日記』

「なまもの!」で有名な大矢博子さんの本が発売されました。
発売当時に購入していましたが最近やっと時間が出来たので一気に読みました。
副題に「燃えドラ夫婦のリハビリ日記」とある通り、旦那さんのリハビリを中心にしたエッセイです。
内容が重くなりがちなのにこんなに面白くてためになる、そして好きなものがあるって本当に良いなと思った本です。

『脳天気にもホドがある。 燃えドラ夫婦のリハビリ日記』
(大矢 博子著 ISBN978-4-492-04399-8 東洋経済新報社)

大矢さんのホームページの日記を知ったのは森博嗣さんのリンクから。いわゆる隠し日記になっていて探し出さないと読めない日記でした。
ミステリを中心とした書評ページ(!?)のはずなのに日々変わらない生活を書いてあるのに、こんなに腹を抱えて笑える日記は毎日毎回読んでも飽きませんでした。
現在は、ホームページをリニューアルし日記をブログに移行して公開!されていますけどその楽しさは全然変わらず。

ミステリ書評家としても活躍中の大矢さんが本を出されるとあったのでてっきりその日記をまとめたものかと思っていたら「旦那さんとのリハビリ日記」です。
日記に若干は触れられていたことが、本書では日記風に書かれています。
旦那さんが脳梗塞を起こしてからの闘病やリハビリと介護の毎日。これだけだと闘病日記のように読めますがそこは「なまもの!」の日記を綴っていた大矢さん。

リハビリや介護の中での出来事をこんなに面白く重くならずにエッセイにしています。ミステリの書評家としてその世界にのめり込む主観性と作品の世界観を第三者として温かく見守る客観性がこのエッセイでも発揮されています。
日記だから振り返ってみての感想とそのとき得られた情報がしっかりとまとまっている。読み手にそういうことが起きても役に立つように配慮がされていると思います。だから面白いだけで終わっていません。

それに旦那さんも大矢さんも「ドラゴンズ」が大好き。(旦那さんは「鉄道ファン」でもあります)
好きなものがあることでリハビリや闘病がこんなに違うものになるんだ、と実感出来ます。というか趣味丸だし。
やっぱり、リハビリ中でも好きなことがあることは介護する側もされる側にも力強い援護になるんですね。

本書にも書かれています。
「看護や介護をする家族は、休むことに罪悪感を持つ必要はありません」
脳梗塞のリハビリに必要な情報やノウハウも書かれています。その辺りはさすがです。要所要所で事実やノウハウが箇条書きされていて分かりやすい。読んでいてこんなことにも気を回さないといけないんだと気づかされました。

気軽にエッセイと読むことも出来ますし、リハビリをする介護者の気持ちにやらなければいけないこと、時にはやらなくてもよいことを知ることが出来ます。
いずれにしても笑って読めていろいろな意味で中身の濃い本でした。


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『ステップ』

久々の「マリア様がみてる」です。
のっけから恋愛話が出て面食らいました。でも、読み終わってみれば由緒正しい「マリみて」でした。

『マリア様がみてる ステップ』
(今野 緒雪著 ISBN978-4-08-601481-6 集英社コバルト文庫)

今回は、友情と恋愛の話しです。一般的には相反する感情です。それを「マリみて」で描くとどうなるか。
二人の少女の揺れる感情と思いは自分勝手でなくそれぞれ相手を思いやるものでした。
どうやって友情と恋愛を両立させるか。その結果は思わず「そんな風な考え方があったか!」と感心しました。
実に読了のすがすがしい話しです。

しかし、それだけで終わらなかったのがこの『ステップ』
あとがきにもありますが、この作品は、山百合会も薔薇様たちも今までの主だった人物も登場しません。
『私の巣』の百・環の例がありますけど、それとはちょっと違った雰囲気です。
なぜ、この作品が「マリみて」の作品群に入っているのか?

私は、最終章の最初の行を読んで分かりました。
ああ、なるほどそういうことならこの作品は「マリみて」になくてはならない!
慌てて読み返してみると、あちらこちらに伏線があります。これはちょっとしてミステリとしても読めますね。
2度目は、伏線を拾いながらニヤニヤしながら読みました。「マリみて」ファンには嬉しい内容です。

もちろん、「マリみて」の世界を知らなくても大変楽しめる作品です。でも、ちょっとでもあの物語を知っているとなお楽しく読めます。
読んでつくづく良かった『ステップ』でした。

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「はやぶさ」の書籍たち

今年2010年は、私にとって6月13日を境に世界が変わったような年でした。

通常、ロケットや人工衛星の書籍は年1~2冊発売されれば良い方でした。そうでなければ、天文関係の書籍に観測装置として探査機や人工衛星が紹介されれば御の字でした。

小惑星探査機「はやぶさ」が帰還してからものすごい勢いで書籍が発売されています。
7月下旬に山根一眞さんの書籍を皮切りになんですかこの数は。
うれしい悲鳴とはこのことですね。
この半年でこれだけ出版されていました。
(リンク先はすべてamazonです)

小惑星探査機 はやぶさの大冒険

探査機はやぶさ7年の全軌跡―世界初の快挙を成し遂げた研究者たちのドラマ (ニュートンムック Newton別冊)

小惑星探査機「はやぶさ」の奇跡

小惑星探査機「はやぶさ」宇宙の旅

小惑星探査機 はやぶさ物語 (生活人新書 330)

大人のプラモランドVOL.3小惑星探査機はやぶさ(夜光バージョン)(ロマンアルバム) [ムック]

はやぶさ、そうまでして君は~生みの親がはじめて明かすプロジェクト秘話

帰ってきた「はやぶさ」-小惑星探査機 7年60億キロの旅

はやぶさLOVE講座(ロマンアルバム)

カラー版 小惑星探査機はやぶさ ―「玉手箱」は開かれた (中公新書)


雑誌の特集などや天文関係で「はやぶさ」に取り上げた書籍など入れたらまだまだあります。
主なものでこれだけありました。

太陽系大紀行 (岩波新書)

いのちの絆を宇宙に求めて -喜・怒・哀・楽の宇宙日記3-

宇宙をつかう くらしが変わる (日本の宇宙産業)

宇宙と地球を視る人工衛星100 スプートニク1号からひまわり、ハッブル、COBE、WMAP、はやぶさ、みちびきまで (サイエンス・アイ新書)

日経サイエンス 2010年 09月号 [雑誌]

宇宙大航海 日本の天文学と惑星探査のいま(別冊日経サイエンス175) (別冊日経サイエンス 175)


すでに2011年も数冊出版されることが分かっています。どこまで行くんでしょうね、このフィーバーというかブームは?

子供の頃、図書館などで繰り返しアポロ11号の月着陸の書籍を読んでいました。たしか3~4冊ほどあったと思います。そういう本を読むことで宇宙開発への興奮や興味がどんどん深くなっていったのを覚えています。
今は、インターネットを使えばかなり精度の高い情報を得ることが出来ます。でも、手元に置いてどこでも手軽に読むことの出来る書籍の存在は今でも侮れないものです。

「はやぶさ」の書籍たちを読んでいて、あの頃の興奮を思い出しましたよ。
これらの本が後どれだけ発売され続けるか分かりませんけど数冊は生き残るはず。それを手にした人が「はやぶさ」を通してロケットや人工衛星・探査機から宇宙開発に興味を持ってくれる人が現れるでしょう。「はやぶさ」の書籍たちがその良いきっかけになると良いですね。

これから「はやぶさ」の書籍たちを契機に他の人工衛星や探査機、ロケットなどの書籍も発売されたら嬉しいですね。
日本の宇宙開発は、こんなに面白いこと凄いことをやっている、それに携わっている人たちにもさらに輪をかけて凄くて愉快な話しがあること、その話しがもっと世間に広まって宇宙開発の関心が深く広くなればこの上ないですね。


そうなることを期待しつつ今年最後のブログ更新です。
来年もいろいろ見聞きして体験してブログの更新(ぼちぼちですけど(笑))をしていきたいと思います。
それでは良い年末年始をお迎えください。

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『ゴーストハント1 旧校舎怪談』

『ゴーストハント』漫画版の最終刊が発売され、これでもうこの作品ともお別れかと思ったら。
小野不由美さん関連情報>経由<WEB 幽 - ゴーストハント>で知りました。

あのゴーストハントが完全版として単行本化!
もう、うれしくて仕方がありません!!

『ゴーストハント1 旧校舎怪談』
(小野 不由美著 ISBN978-4-8401-3594-8 メディアファクトリー)

親本(『悪霊がいっぱい!?』)が出版されてから20年以上経っているんですけど全然気になりません。
今だとライトノベルのジャンルに相当するんでしょうけど、この作品はその域に収まるものではないのは親本も完全版も同じことです。
完全版は、なんだか読みやすいですね。ストーリーは若干肉付けされている程度で同じはずなのに完成度があがったというか、少女小説の枠が取り外されたことで話しの内容に厚みが出たからでしょう。

ホラー小説はあまり読んでいないのでジャンル的に詳しいことを知りません。でも、この作品は単純なホラー作品でないことが分かります。
超心理現象が「ある」「ない」という観点ではなく、科学として超心理現象を捉えるために科学的手法でこの現象を調査するいう姿勢は何度読んでいて心地よいですね。
ミステリー小説としてもこの作品を読むことが出来ます。超心理現象を事件としてゴーストハントの面々が探偵役として推理・解決していく。ホラー小説を読んでいるのに奇麗に解決されていく件はミステリーそのもの。

もちろん、それだけではないのがこの作品の凄いところです。それは読んでのお楽しみです。最初から最後まで順番に読んで最終巻でなにが起きるか自分の目で確かめてください。

親本も漫画版も持っていますけど、再度この完全版を読んでいきます。



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『ほうかごのロケッティア』

マツドサイエンティスト・研究日誌で知りました。さて、読んでみようかと思ったらなかなか売っていない。大型書店でやっと見つけました。
読んだ途端にロケットネタ満載で大笑い。でも、それだけで終わらない小説でした。

『ほうかごのロケッティア』
(大樹 連司著 ISBN978-4-09-451178-9 ガガガ文庫)

少年少女たち(ときどき大人たちも)が訳あってロケットを打ち上げる。ロケットの規模は大小あれど、このプロットはフィクション・ノンフィクション関係なく色々あります。
この作品の良いところは、ロケットを含めた宇宙開発ファンはくすくすと、そうでない方でも少年少女時代のやみがたい思いや紆余曲折ありながらも目的目指して進む誰もが知っている感触を味わえます。

宇宙開発ファンとしては、舞台となっている島の見取り図と登場人物たちの名前からして大笑い。本編にいたってはどごもかしこも“知っている”“見たことある“ことばかり。主に日本の宇宙開発の出来事、専門用語などのオンパレード。すごい勢いで盛り込まれています。

それがただネタで終わっていないのがこの作品の良いところです。素人のロケットです。それはもうお約束のように失敗します。ではどうやって次打ち上げるか。ハードルは色んな意味で上がっています。それをクリアするのに……。これ伏線だったのか!と感心させられました。
ちゃんとロケットネタでの伏線です。それも意外なやつを使っていました。確かにこの存在を忘れてはいけません、です。

ロケット打ち上げる物語は、割と一直線にそれに向かっていくものが多いです。『ほうかごのロケッティア』は一見ネタ満載で変化球過ぎるように見えますけど、一直線に走りつつ、ネタを振りまきながら、それでいてロケット打ち上げの王道を押さえている。読んだ後はなかなかの感動と妙な盛り上がりがありました。

それからもう一つ。この手の作品が好きなのは、その後の宇宙開発が描かれている点です。『ほうかごのロケッティア』と然り。たぶん、この「その後」が一番宇宙に近いんだと思います。
実際問題として宇宙にたどり着けるには、旧ISASと旧NASDA以外のノウハウが確立した時でしょう。どんなノウハウが確立したら宇宙に行けるようになるんでしょうか? 『ほうかごのロケッティア』を読みながらそんなことを考えました。

それにしても、元ネタ集作ったら作ったら面白そう。宇宙開発ファンとして試されるような気がしますけど。



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『増補 スペースシャトルの落日』

松浦さんの『スペースシャトルの落日』が文庫化しました。ただの文庫化だけでなく、その後のスペースシャトル計画、アメリカの宇宙開発戦略にも踏み込んだ内容になっています。

『増補 スペースシャトルの落日』
(松浦 晋也著 ISBN978-4-480-42689-5 ちくま文庫)

スペースシャトルという宇宙船が持っている問題点をずばりと指摘した良書です。それが文庫化して持ち歩きやすくなった以上に“増補”という形で追加情報が盛り込まれていてとってもお得です。
早ければ今年にも引退する「宇宙船」を見直すには良いタイミングかもしれません。

親本がスペースシャトルを冷静に見直したのが中心でした。文庫では1980年から打ち上げられているアメリカの宇宙船の話しにとどまらず、21世紀のアメリカ宇宙開発戦略、人間が宇宙へ行くための乗り物はどうあるべきかまで解説されています。
宇宙開発の本であり、技術論の本であり、巨大計画の光と影を失敗という視点から取り上げた本でもあります。

親本の時も思ったのですが、この宇宙船にやっぱり乗れないのか、ですね。打ち上げ初期は人と貨物を運ぶ宇宙船というよりも一般の人でも乗ることが出来る宇宙船というイメージが強かった。それがいつまで経っても乗れる気配がない。選抜された宇宙飛行士ですら10年近くかかっての搭乗です。一般人が乗れる余地なんかなかった……。イメージとコンセプトと現実がこんなに違っていたなんてこの本を読むまで気がつかなかったですね。

その辺りをこの文庫を読む度にさらによく分かります。宇宙開発好きよりもなにげなく手に取った人の方がこの本の面白さを楽しめると思います。
文庫化だけでもうれしかったですけど、内容がさらに充実で大変楽しめました。


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