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小惑星探査機「はやぶさ2」カプセル地球帰還について

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2020年は、新型コロナウイルス感染症の流行のため、感染症の危機にさらされる事態となってしまいました。緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出自粛やそれに伴うイベントなどの延期・中止が続く年でした。

 今までとは違った生活様式を求められなにかとストレスがたまり、人の動きも大きく制限され、なにをするにも気を使いながら疲れたりイライラすることが多くなりました。

 そんな中、個人的に明るい話題・よりどころみたいなのが、小惑星探査機「はやぶさ2」の再突入カプセルの地球帰還でした。自分なりに応援してきた「はやぶさ2」について思っていることをここに書いておきたいと思います。

 

2020年12月6日、小惑星探査機「はやぶさ2」の再突入カプセルが地球に無事帰還しました。

コロナ禍の中、パブリックビューイングは諦め、JAXA(宇宙航空研究開発機構)とNVS(ネコビデオ ビジュアル ソリューションズ)のネット中継でカプセルの地球帰還を見守りました。

JAXA<「はやぶさ2」地球帰還 実況ライブ【カプセル再突入・着陸】

NVS<はやぶさ2カプセル地球再突入オーストラリア現地中継

 はやぶさ2から切り離された再突入カプセルは、約22万キロを飛行し大気圏再突入し予定通りパラシュートを展開してオーストラリア大陸のウーメラ砂漠に着陸しました。

 カプセルは、現地の夜明け後にJAXAのカプセル回収隊に発見されました。ウーメラの現地本部で簡易的なガス採集を行い、12月8日にJAXA相模原キャンパスに到着し、地球外試料キュレーションセンター内に搬入されました。

 はやぶさ2は、C型小惑星探査・サンプルリターンを完遂しました。うれしいことに探査機は健全で拡張ミッションが計画されており、予算など決まれば2031年7月頃に小惑星「1998 KY26」へ到着し高速自転小惑星の探査が予定されています。

 12月15日は、小惑星リュウグウのサンプルが収められているサンプルキャッチャーが開封され、約5.4グラムのサンプルの採取に成功が確認されました。

 小惑星探査機「はやぶさ(MUSES-C)」(以下、初代はやぶさ)の頃と比べると完璧すぎる「はやぶさ2」のミッションでした。

 初代はやぶさを振り返ると、2003年5月9日に打ち上げ。2005年の小惑星「イトカワ」到着前に姿勢制御を行うリアクションホイールの3台のうち1台が故障。到着後にもう1台故障してしまい、残り1台で探査を行うことになりました。また、サンプル採取の際にも弾丸が発射されずに正規のサンプル採取とはなりませんでした。
 イトカワのタッチダウン後には、行方不明になる危機もありました。約1ヶ月半後に通信を回復しましたが満身創痍の状態になっていました。姿勢制御用の燃料喪失、充電池は放電しきっており11セル中4セルが故障状態。
 それでも最終的には、残った1台のリアクションホイールとイオンエンジンを組み合わせた航行、太陽光圧を利用したスピン安定状態を用いて地球帰還を行い、途中でイオンエンジンの寿命が来てしまいましたが「クロス運転」で航行を続けられ、見事にイトカワのサンプルを収めたカプセルを地球へ帰してくれました。
 
 初代はやぶさの困難を知っていればいるほど、はやぶさ2の運用の見事なものでした。しかし、はやぶさ2もまったく問題がなかったわけではありません。小惑星リュウグウに降下途中のアボート、予備のリアクションホイール試験中に異常値を検出し探査機がセーフホールドになったこともありました。探査ローバー「MINERVA-II2」の不調によるミッション変更もありました。

 

 はやぶさ2は、初代の技術や経験を引き継いだ上で新たな挑戦も成し遂げました。

・地球とリュウグウの往復に使用されたイオンエンジンは絶好調の運転で航行を完遂。

・史上初のC型小惑星の近接観測

・平地がほぼないリュウグウへのピンポイント・タッチダウンの成功

・インパクター(衝突装置)によるクレーター生成実験の成功

・インパクターで噴出した小惑星の地下物質の採取

・小惑星表面に小型着陸機・探査ローバーの着陸

・ka帯のハイゲイン・アンテナによる通信

まだまだあると思いますけど、はやぶさ2の成果を聞く度に「すごいな~」の一言しかありませんでした。

 

 はやぶさ2とは、たぶん2006年10月20日にロフトプラスワンで開催された「ロケットまつり はやぶさは飛翔した」で、はやぶさ後継機の話しを聞いてからのお付き合いになります。ずいぶん昔からの付き合いになりますね。初代はやぶさの帰還からも、もう10年。

 ネットの中継やSNSを見ていて思ったのは、「十年一昔」です。
 はやぶさ2の地球帰還が近づいた頃に、昔から変わらず応援している人も、いつの間にかにお目にかからなくなった人もいるな、と思いました。一度も会ったり話したりしたこともないんですけど、みなさん元気にやっていたらいいなと思いました。
 年を取り始めてきて10年前なんて少し昔のことだと思っていたんですが、実際には多かれ少なかれ変化があって10年の月日をとっても感じました。
 
 私は、2020年からのコロナ禍の中でもなんとか生活出来ていて、相変わらず宇宙開発好きでいられています。これはある意味幸運なことなんでしょうね。10年過ぎればそれだけ年を取ってだいぶくたびれてきていますけど、まだまだ宇宙開発を追いかけていきたいと思います。

 

 宇宙科学研究所(ISAS)では、火星衛星探査計画(MMX)が2020年代に火星衛星「フォボス」からのサンプルリターン、深宇宙探査技術実証機 DESTINY+が小惑星「フェートン」のフライバイ探査、まだ計画段階ですがソーラ電力セイル探査機「OKEANOS(外惑星領域探査ミッション)」もあります。

 ただ、地球近傍小惑星探査の計画がまだ見えていないのが現状です。「はやぶさ」という名前を継がなくても「初代はやぶさ」・「はやぶさ2」が築いた技術・経験・ノウハウを途絶えることなく次の世代に引き継いでほしいと思います。
 個人的には「はやぶさ3」というか小惑星探査計画をシリーズ化してほしいと思います。

 

 それから、「はやぶさ2プロジェクト」<http://www.hayabusa2.jaxa.jp/>のページにはプロジェクトの情報や記者会見の資料などが一杯あります。また、JAXAのホームページにも「はやぶさ2」のプレスリリースが残されています。<https://www.jaxa.jp/press/hayabusa2/index_j.html> 初代はやぶさに比べてもものすごい質と量の情報があります。

 この情報や資料がただの歴史になるだけでなく、ファンはもとより未来の関係者へつなぐ次へ活かす情報や資料にもなってほしいと思います。

 

 「はやぶさ」という名前は、もうかなり有名になったと思います。
 以前こんなことがありました。自分のノートパソコンの壁紙は「はやぶさ2」なのですがそれを見た人が「あ、はやぶさだ」と言われました。エンジンがすごいんですよね、映画にもなったんですよね、とも言っておられました。もう、一般の人にも知られているんだとうれしくなりました。
 この利点を活かさない手はないと思います。たとえ、次の小惑星探査機の名称が「はやぶさ」でなくても、だれもが「初代はやぶさ」「はやぶさ2」の名前を思い出してくれることを。

 

 初代はやぶさから続く探査が成功を収めました。ファンとしてもとってもうれしいことですし、今後の宇宙探査ミッションの弾みになればよいと思います。
 はやぶさ2プロジェクトのみなさま、関係者のみなさま、本当に本当におめでとうございます。

 

最後に「はやぶさ2」ミッションの流れをまとめておきます。

打ち上げ:2014年12月3日
地球スイングバイ:2015年12月3日
小惑星リュウグウ到着:2018年6月27日
小惑星探査ロボット「MINERVA-II1」分離:2018年9月21日
小型着陸機「MASCOT」分離:2018年10月3日
合運用:2018年11月23日~12月29日
第1回タッチダウン:2019年2月22日
衝突装置分離運用:2019年4月5日
第2回タッチダウン:2019年7月11日
ターゲットマーカ軌道投入:2019年9月17日
小惑星探査ロボット「MINERVA-II2」分離:2019年10月3日
小惑星リュウグウ出発:2019年11月13日
再突入カプセル地球帰還:2020年12月6日

 

現在、「はやぶさ2」は、小惑星1998 KY26を目指して航行中

 

1年に1回、いつものやつでした。

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