« 『ほうかごのロケッティア』 | トップページ | Yuri's Night 2010 »

第29回宇宙科学講演と映画の会

2010042401

4月10日、東京は新宿「新宿明治安田生命ホール」で開催された「第29回 宇宙科学講演と映画の会」に行って来ました。
この時期定番の講演会。今年もなんとか年度末を乗り切って無事講演を聞くことが出来ました。
なぜか開始時間を14時と勘違いしていて13時半前に到着したらすでに満員。なんと空席を見つけてギリギリセーフでした。

司会のJAXA宇宙科学研究“所”・宇宙科学広報・普及主幹の阪本先生から、いつも通り大勢の人に集まってもらって大きいホールが満席になるのを楽しみにしていた、との挨拶から始まりました。

小野田所長の挨拶では、研究本部から研究所に変更の経緯を昔に返るのではなく、JAXAの中で研究者の自由な発想を尊重して学術研究を行う組織を再認識して内外にシグナルを送る、と説明がありました。また、今年の6月打ち上げの金星探査機「あかつき」・小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」や5月地球帰還予定の小惑星探査機「はやぶさ」についても紹介されておりました。


今年の講演は『「すざく」とMAXIが切り開くX線天文学』と『セミオーダー型の小型衛星が拓く新しい宇宙科学の世界』の二つ。

『「すざく」とMAXIが切り開くX線天文学』では、X線とはなんぞやから始まって、X線観測の歴史、X線天文衛星「すざく」の話しやその科学成果、国際宇宙ステーション(ISS)に搭載されている全天X線監視装置「MAXI(マキシ)」の成果、すざくとMAXIの連携の可能性と、X線天文学に成果を上げている日本の人工衛星とISS最初の天文ミッション観測装置について講演がありました。

理学はとんと疎いですが、日本のお家芸と言われているX線天文学についてそこまで言われる一端が分かりました。常に最新の観測機器を宇宙に打ち上げて観測することはやっぱり必要ですね。すざくとMAXIの連携の話しでありましたが、「一番大事なことはすざくだけでもマキシだけでも出来ない観測を共同で行うことでX線天文学の大きな発展に貢献することが出来る」「世界のX線天文学を引き続き日本が牽引していくためにはこういう共同の観測というのは不可欠なものである」と仰っていました。

質疑応答でもこんなやり取りもありました。
Q、「観測によって分かったことや観測に使われた技術は実際に我々生活や産業の分野にどのように恩恵をもたらすのか?」
A、「ブラックホールが明るくなったからと言って経済状態が良くなるわけではない。基礎物理に対する貢献」「技術に衛星は過酷な環境で観測します。一番大きいというのは過酷な環境でものを作る技術者が大きく育つ。それが蓄積されていって日本の科学技術を支えている。そういう面が一番大きいと思う」(石田先生)
「人類の知の生産というか、国力に見合ったそういう貢献をしなくてはいけない。そういうことをしないと日本がやせ細ってしまう。みなさんの心を豊かにする意味で役に立っている」(小野田所長)
「お手柔らかにお願いします」(阪本先生)


『セミオーダー型の小型衛星が拓く新しい宇宙科学の世界』では、宇宙科学の現状から小型科学衛星プロジェクトが立ち上がった経緯、なぜ“小型”なのか、セミオーダー型の仕組みでどういう科学を実現するかなど話しがありました。

限られた予算の中で、目的シャープに絞り込んで必要な機能だけを宇宙へ持っていく。絞り込んだ目的では大型衛星に負けない成果が期待出来る、と説明がありました。打ち上げロケットはイプシロンロケットで確定です。しかし、打ち上げ頻度が5年に3回は変わらないようです。1年に2回くらいになってほしいですね。
2号機は、SPRINT-B(ERG)。去年の夏に選定が終わって経営判断を待っているそうです。3号機以降は決まっていないが候補の衛星はいくつもあってとありました。

質疑応答では、かなかな面白いことが聞けました。
H-IIAでも打ち上げられるのにイプシロンによる単独打ち上げなのかという質問がありました。その回答が小型科学衛星は良い意味で「ゲテモノ」揃い。科学ミッションのため通常使用される軌道に投入されない。そのためH-IIAの相乗りでは軌道投入が難しくなる。だからイプシロンによる単独打ち上げ、とのこと。
また、小型科学衛星シリーズは、スペースワイヤーという衛星搭載の機器をネットワークで接続する国際基準を全面的に採用したおそらく最初の衛星になるそうです。

すざくの成果を具体的な天体を上げて丁寧に解説される石田先生も良かったですが、話しのポイントを繰り返し解説しながら小型科学衛星という新しいプロジェクトの流れを端的に話される澤井先生の講演もなかなかでした。

それから、理学関係の質問では阪本先生が大活躍。「計算で分かるブラックホールの数と実際に発見されてブラックホールの数はどうなっている?」「宇宙の外はどうなっている?」などの質問に天文学者らしく答えられていました。

講演の内容とは直接関係ない質問も飛び出ました。「はやぶさがなんと帰ってこれそうだと聞いたけど何パーセントか聞きたい」
これは小野田所長ご指名でした。
「いつ故障してもおかしくない」「惑星軌道から直接地球大気に入ってシビアな加熱に耐えなければならない」「担当者はけして希望的な言葉はどこでも言わないでくれ」と一通り説明されてから何%と答えられました。
その数字が一人歩きするとまずいので何%と答えられたか書きませんけどその回答に会場大拍手だったことだけは記しておきます。さすが宇宙研所長です。
阪本先生からも一言あって、「けして楽観的なことはいわない。6月まで涙をためて待っていてください」
ちなみに阪本先生は4月1日から「はやぶさ」のスポークスマンになられたそうです。


講演後の映画上映は『L-4S-5/おおすみ』と『金星大気の謎に挑む~金星探査機「あかつき」~』の2本立て。
今年は日本初の人工衛星「おおすみ」打ち上げ40周年ということで「おおすみ」の記録映画。5月打ち上げの「あかつき」紹介ビデオと楽しめました。


今年も内容盛りだくさんの「宇宙科学講演と映画の会」でした。
来年もホットな理学と工学の講演をを期待します。

|

« 『ほうかごのロケッティア』 | トップページ | Yuri's Night 2010 »

「宇宙開発」カテゴリの記事

「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/49026/48170449

この記事へのトラックバック一覧です: 第29回宇宙科学講演と映画の会:

« 『ほうかごのロケッティア』 | トップページ | Yuri's Night 2010 »