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『数学ガール』

前々から評判が良いことを耳にしていました。読んでみて納得。
去年の年末から現在までとぎれとぎれに2周目です。

『数学ガール』
(結城 浩著 ISBN978-4-7973-4137-9 ソフトバンククリエイティブ)
『数学ガール フェルマーの最終定理』
(結城 浩著 ISBN978-4-7973-4526-1 ソフトバンククリエイティブ)
『数学ガール ゲーデルの不完全性定理』
(結城 浩著 ISBN978-4-7973-5296-2 ソフトバンククリエイティブ)

「数式の意味がよく分からないときには、数式をながめるだけにして、まず物語を追ってください」とあるように文系の私でも十分楽しめました。
主題「数学」、補助線「青春」(+「数学」ですね、やっぱり)の物語。
数式の意味はやっぱり分からないけど、物語の中に繰り出されていく数字と主人公たちの言葉をたどっていく旅は楽しい。数学という世界が分かったというの不遜ですけど、どういう世界が広がっているか見渡す場所を教えてもらったようでした。

この中から1冊となるとやっぱり『数学ガール フェルマーの最終定理』ですね。
サイモン・シン『フェルマーの最終定理』を読んでいて気になった言葉がありました。フェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズは、この問題に取り組むにあたって新しいテクニックをいじり回して身につけた、とあります。それも1年半も。
このサイモン・シンの本も大変面白く壮大な歴史書を読んでいる楽しみがありました。でも、1年半もワイルズは何をやっていたのか想像出来ません。何回か読み直していますけどやっぱり感想は、「1年半“も”?」でした。
数学ってすでに公式やら定理やら完成されていてそこから一歩踏み出すためにあれこれやっているとか勝手に思っていました。テクニックをいじくり回すって公式や定理を見直すのとはちょっと違うような気がしていました。

サイモン・シンの本を読んだように、ときたま数学や物理の本を頑張って読んでみますけどさっぱりです。
出てくる数式の意味が分からない。その数式から描かれるグラフや値の意味っていったい何を意味がしているのかさっぱりです。そもそもどうしてそうなってそこへたどり着くのやら見当もつきません。

でも、『数学ガール』は、「例示は理解の試金石」「偶奇を調べる」など具体的に数字をいじっていき公式や定理を説明していく。そこには無味乾燥な数式の展開があるのではなくて、主人公たちの試行錯誤を追いかけていくと少なくともその道筋が見えてくる。
数式は分からないけど、どこへ行こうとしているのかどこへたどり着いたのかを『数学ガール』は丁寧に書かれています。こういう本は初めてですね。

補助線である「青春」
この青春は主人公たちだけのものでなくて、読み手が物語と一緒に歩いていく手助けになっていると思います。
数学が主題・補助線ですからまあ地味です。地味に見えるのは本文にある「孤独な数学者は論文を書く」につながっていくと思います。でもこの見出しには「生産的孤独」と名付けられています。地味だけと前向き。そういう青春が羨ましいです。
よく『数学ガール』は「数学」+「青春」と紹介されいます。この足し算は偉大ですね。

数学ガールを読んでみた後、ワイルズがテクニックを磨いた期間が「たった1年半か!」になりました。
もちろんフェルマーの最終定理が分かったわけではないですけど、その個々の要素はこんな姿や関係性を持っていたかおぼろげに見えたようです。ワイルズや世界の数学に関わる人たちが日々どんなことを考え、数字をいじっっているのが『数学ガール』の物語から橋が架かって見えてきそうな気にまでなりました。

数字や数式を読み込んでいく(って気分だけですけど私の場合)楽しさを思い知らされたシリーズでした。


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