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『夢から、さめない』

ブックススケジューラー」でお気に入りの作家やキーワードで新刊情報を入手しています。そこで知りました。いやびっくり。
復刊自体もそうですが最初に発表されてからそんなに経つんですか……。

『夢から、さめない』
(白倉 由美著 ISBN978-4-04-418503-9 角川文庫)

最初は、角川スニーカー文庫として発表されました。白倉さんのイラストが表紙で短編の漫画も一緒に掲載で嬉しい内容でした。今回の角川文庫版は、イラストと漫画が行方不明ということで表紙は七字由布さんのイラストになっています。
ちょっと惜しい気持ちもありましたが久々に読んでいくとそんなことは気になりませんでした。

三人の少女とそれに関わる少年たちの物語です。それぞれの人生が偶然にも歩みを交錯させ、いつしかひとつの場所、“動物園”へと集まります。すでにこの世にいない少年の思いに操られるように、またその少年の思いを消さないためにも。
そこで物語は終わりを見せますが彼らと彼女らの歩みは終わったわけではありませんでした。

もともとラジオ番組の「リーディングストーリー」という名の短い朗読ドラマとして発表された作品が原型です。一話一話がとても短い構成になっています。それがひとつひとつ壊れないように紡がれていったのがこの小説です。
このリーディングストーリーをまとめたCDの中にあるイメージソングの歌詞にある「彼と彼女の物語」ですね。
CDにはそれぞれの少女の物語が最初の一話ずつ3話分収録されていました。
その続きが小説で読めたこと、再び三人に会えたことに思わず感謝したのを今でも覚えています。

小さな思いとささやかな幸せとそれを狂わす出来事が静かに淡々と綴られています。精一杯背伸びした彼と彼女の一瞬を切り取ったかのようです。今ではそんなことおかまいなしで非現実から現実を見るばかりで大がかりすぎます。まあ、それはそれで面白いんですけどね……。
この作品はそんな小さいことを大切に忘れないで繰り返していく白倉さんの作風がよく表れていると思います。

それから、この角川文庫版の後書きで気になったことがありました。
十代から漫画家として活動していたわけですよね。それで子供と大人を両方いっぺんに過ごしてしまったからあのようなことを書かれているんだと思います。
小説や物語は、いつまでも書き続けられないかもしれません。しかし、繰り返して語り続けることはこれに対する一つのアンチテーゼではないでしょうか。そして、白倉さんなら語り続けることが出来ると思います。

久々にこの作品を読んで、どんなに小さなことでも大切にそして綺麗に作り上げていく方だと改めて思いました。白倉さんには時間がかかっても必ず書き続けて欲しいものです。


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