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『やっぱりおおきくなりません』

久々の白倉さんの新刊です。『おおきくなりません』の続編です。

『やっぱりおおきくなりません』
(白倉 由美著 ISBN978-4-19-905177-7 徳間書店)

主人公の麻巳美さんと月哉さんの静かな生活。でも少しずつ二人の不思議な関係が見えてきました。
それぞれの章だけみると、作者である白倉さん自身の話かと思いたくなるエピソードがあってちょっと私小説のようにも読めました。

最後まで読み終わると、今までの白倉さんの小説であってそうではない展開でした。

「死」と「再生」というモチーフは今まで通り白倉さんらしかったですね。でも、それを総括して「救い」のある結末。
これまででも、良い意味にしろ悪い意味でも登場人物たちに「救い」はありました。それはある意味読者を置いていく内容にも読めるものでした。それが白倉さんの場合は良いんですけどね。

『やっぱりおおきくなりません』には、「大人になるということ」が表に出てこないテーマであります。
それに対するひとつ答えがこの物語にあります。世間一般で言われる大きな意味での「大人」でなく、自分としての「大人」について白倉さんの言葉で紡ぎ出されています。
初めて知ったことをいつの間にかに忘れていて再び思い出した時。そういう経験が何かを捨て捨て去ることなく小さくても何かを生み出すのでしょうね。
この小さい物語にはそういう意味があると思いました。

この本を読みながら聞いていた曲のフレーズが妙に引っかかりました。
たぶん、繰り返されるモチーフは、どこか忘れられない新しさ、幸せの気持ちがあるからでしょうね。
これからの白倉さんの作品が楽しみです。

「キミの始まりの日へ 帰る日に」(オーロラ/平沢進)

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