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『ダーティ・ボマー』

1月2月と上下巻で大石英司さんの新刊が出ました。
すぐに読んでいたのですが今頃になっての紹介です。

『ダーティ・ボマー』
(大石 英司著 ISBN4-12-500882-5(上巻)
          ISBN4-12-500883-3(下巻) 中央公論新社)

9・11以降、遠い世界の話であったテロが現実的な話になっています。
この話では、アメリカ各地で核爆弾が使われ、国家としての機能を失います。
また、ダーティ・ボムという核物質を拡散させることで放射能汚染を引き起こす爆弾が使用されます。
この日本でもダーティ・ボムの原料が見つかり、いっきに危機が高まっていきます。
テロの標的になったアメリカでは、一人の日本人サラリーマンが家族のいるシカゴへ車を走らせるなかで事件の渦中へと巻き込まれていきます。そして……。

核爆弾や化学兵器の恐怖はよく聞きますが、核物質を使ったダーティ・ボムは知りませんでした。これだったら、先に挙げた兵器よりも調達リスクが少ないためテロリストグループが使う可能性が高い、言い換えればこれが現実になっても不思議ではない、実感できる恐怖を感じました。

さて、日本で核となると、あの部隊の登場か? と期待したところやっぱり登場しました。
しかし、もともと原子力発電所の防衛や奪取を目的とされた部隊に、このようなテロ、いわゆる“前線”がどこになるか分からない状況に対応できるのか、と疑問になりました。
そこら辺はちゃんとしていました。
隊長は対策本部に詰めて、部隊は警察などと一緒に“前線”に出ていました。
専門家でも事態が大きくなるとアドバイザー的な立場でしか対応することが出来なくなる。しかし、そこが“前線”であることには変わりません。そのおかげで……、というところがありました。

上巻では、事態が進んである程度の展開が広がるまで間がありましたが、下巻ではそれがいっきに動き出します。1ヶ月我慢して上下巻まとめての方がよかったかな、と一瞬思いました。

あと「FOX4」という言葉(大石さんの造語でしょうか?)もこの作品で知りましたが、それにしてもこういう“狂気”に立ち向かうのには“狂気”をもって対応するしかないのかと、悲しくなりました。
でも、最後に救いがあります。
その救いは偶然ではなくて、登場人物たちが勝ち取った救いです。ラストの部分だけ何回も読み返してしまいました。

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